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院長インタビュー
「悩む必要はない」「痔は治る」
その感動が肛門科医を
目指すきっかけです
関西では女性の肛門科医が珍しいですが、肛門科医を目指されたきっかけは?
父親がここ下谷内科で内科の診療を行っていたこともあり、昔から馴染みのある診療科目ではありました。
元々私は消化器内科が専門で、勤務医として病院で働いていたのですが、父親の体調が悪くなったのを機に下谷内科の診療を手伝い始めました。
その時、長女を出産してひどいいぼ痔になり手術を受けたのです。
この時の体験がターニングポイントになっています。
手術を受けたことで、いぼ痔がとても良くなって感動したのです。
そして「私と同じように困っている方は大勢いるに違いない」と思い、手術をしてくれた先生、今では私の師匠にあたる方ですが、その方に「私は内科医ですが、同じように痔で困っている方の手助けをしたいです。今からでも勉強することはできますか?」と志願して、そこから肛門科医としての道を歩み始めたのです。
ある程度キャリアを積んでから勉強を始めた?
はい、そうです。
それだけ手術の効果が印象的で、「痔で悩む必要はない」「痔は治る」とすごく感動したのです。
私の手術を担当していただいたその師匠の先生から直接指導を受けたり、ご紹介していただいた病院で研修を受けたり、手術したりするなどの数年間の研修期間を経て、日本臨床肛門病学会から臨床肛門病医の認定を受けました。
下谷内科の院長に就任した経緯は?
父親の体調が悪いこともあって、「今後、下谷内科をどうするか?」ということになった時、このまま勤務医として病院で働き続けるか、それとも医院を継ぐかという話になりました。
ですが、下谷内科へは大勢の患者さまがお越しになられていて、その方々のことを思うと閉院するわけにはいかず、「父親が残してくれたものを大切に引き継ごう」と決めて院長に就任した次第です。
手術は「最終手段」極力、
保存的治療を心がけています
肛門科の治療で力を入れられていることは?
痔は生活習慣全般とのかかわりが深い病気ですので、まずはそちらからアプローチするようにしています。
手術などの負担が大きい治療方法は最終手段と考えて、極力、保存的に治すように心がけています。
改められる生活習慣はたくさんありますので、まずはそれらを1つ1つお伝えして、できるだけお尻に負担がかからない生活を送っていただけるようにアドバイスします。
例えば、お酒や辛いものがお好きな方には、それが痔に関係していることをご説明します。
便秘の方には、それを改善することで痔の状態が全然違ってくることをご説明します。
便秘の方の中には、トイレに新聞やスマートフォンを持ち込んで長くトイレされる方がいますが、これは痔になるリスクをとても高めますので、あらためてもらうようにしています。
このように今の習慣を見直すための話し合いを行い、何ができるのかを一緒に考えて、「痔で困ることのない快適な生活」を目指していきます。
もちろんお薬も使いますが、手術はあくまで「最終手段」です。
患者さまによっては「手術しか方法がない」ということもありますが、最初から「手術ありき」とは考えないようにしています。
医師としての喜びを
感じる瞬間は
「患者さまが良くなった時」
に尽きます
医師としてどのような時に喜び・難しさを感じますか?
下谷内科の院長に就任して15年以上が経ちますが、医師としての喜びを感じる瞬間は「患者さまが良くなった時」です。
これに尽きます。
ご来院された時はつらそうだった表情が、穏やかになる瞬間を目にすることが一番うれしく、心から「良かった」と思います。
反対に難しさを感じる時は、「診断がつかない時」です。
一体何が起こっているのかわからない時、「どうすればいいのだろう?」と頭を悩ませます。
でも、この時注意しているのは、私一人で診ているので「患者さまを長く診過ぎないこと」です。
診断がつかなくて色々試行錯誤しているうちに、適切な治療のタイミングを逃してしまう場合がありますので、変なプライドは持たずに、無理なものは「無理」と判断し、患者さまにも「当院では治療は難しいです」とお伝えして、適切な専門機関をご紹介するようにしています。
患者さまの症状改善のためにも、こうした見極めはとても大事だと思っています。
オフの日はどのように過ごしていますか?
私には今、4人の子供がいますので、子供たちと出かけたりしています。
また、普段、座り仕事で体を動かす機会が少ないので、スポーツクラブで運動しています。
筋トレが好きではないので、ダンス系のプログラムに加わることが多いです。
痔の治療では積極的な運動も大事な要素ですので、患者さまに「運動してくださいね」と言っておいて、自分はしていないというのではダメですからね(笑)。
そうして自分でも運動することで、「この運動だと、これくらい疲れるのか」とか、色々なことがわかるようになります。
また、スポーツクラブにはご高齢の方もたくさんおられるので、そこから得た「気づき」を診療に活かすことも多いです。
これはテレビを観たり、新聞を読んだりする時も同じで、テレビや新聞の話題で患者さまと盛り上がって打ち解けられるということがよくあります。
このようにオフの日でも、今後の診療に役立てられるように色々な方向にアンテナを張るようにしています。
多くの患者さまが
「もっと早く来ればよかった」
とおっしゃられます
痔でお困りの方へメッセージをお願いします
痔は命にかかわる病気ではありません。
ですが、日常生活で不快感や不便さを覚えやすい病気ではあります。
肛門科の受診に抵抗があるお気持ちもわかりますが、肛門科の診療は全然恥ずかしいものではありませんし、痛みもありません。
迷いに迷ってようやく受診された患者さまのほとんどは、「もっと早く来ればよかった」とおっしゃられます。
来る前は不安に思い、ハードルが高く感じられるかもしれませんが、不安に思ったり、怖がったりする必要はありません。
インターネットなどでお調べになってあれこれ迷ったり、市販のお薬を色々試しているうちに適切な治療のタイミングを逃したりせず、お早めに当院へご相談ください。
その方が早く、そして楽に今のお悩みが解消できるはずです。